岐阜地方裁判所 昭和56年(わ)73号 判決 1981年4月08日
裁判所書記官
遠藤文雄
本籍
岐阜市宇佐二丁目二番地
住居
同市宇佐二丁目二番一三号
会社役員
宮川務
昭和一六年五月八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺恵一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年二月及び罰金四〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、岐阜市加納三笠町二丁目一九番地において「宮川商店」の名称で紳士用スラックスの製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、これによって得た資金を他人名義の預貯金として秘匿する等の不正の行為により、
第一 昭和五二年分の実際所得金額が一億一二三五万八八七九円で、これに対する所得税額が六九二七万六六〇〇円であるのに、右実際所得金額中一億八七万五六四三円を秘匿したうえ、同五三年三月一五日、岐阜市加納清水町四丁目二二番地所在の岐阜南税務署において、同税務署長に対し、同五二年分の所得金額が一一四八万三二三六円で、これに対する所得税額が二八五万二二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右正当税額との差額六六四二万四四〇〇円を免れ、
第二 昭和五三年分の実際所得金額が九四〇五万七六八四円で、これに対する所得税額が五五二七万三六〇〇円であるのに、右実際所得金額中八一四八万四五八六円を秘匿したうえ、同五四年三月一五日、前記岐阜南税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の所得金額が一二五七万三〇九八円で、これに対する所得税額が三二七万二〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右正当税額との差額五二〇〇万一六〇〇円を免れ、
第三 昭和五四年分の実際所得金額が三九七〇万八六二四円で、これに対する所得税額が一七〇七万二五〇〇円であるのに、右実際所得金額中二七七六万四〇一七円を秘匿したうえ、同五五年三月一五日、前記岐阜南税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の所得金額が一一九四万四六〇七円で、これに対する所得税額が二四五万一六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右正当税額との差額一四六二万九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
被告人の当公判廷における供述のほか記録中の検察官請求証拠等関係カード記載の請求番号1ないし28の各証拠と同一であるから、これを引用する。
(法令の適用)
所得税法二三八条一項、二項、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、一八条、二五条一項、刑事訴訟法一八一条一項本文。
(笹本忠男)